beautiful and wonderful

愚痴を書くブログ

繁り

懇意にしてもらっている近所の車屋の販売員から仕事中に留守電が入っていて、前回のオイル交換から半年が経過しましたがその後お車の調子はどうですか、とのこと。うっかりしているうちに半年が経過してしまっていた。アクセルを踏むたび、すっかり純度が落ち黒く淀んだエンジンオイルがエンジンを撫で回す不快な想像をし、すぐにオイルを交換しようと決意した。思えば5月も終わろうとしているというのに、タイヤも未だ冬仕様。面倒くさがっているうちに、熱されたアスファルトスタッドレスタイヤの表面を徐々に徐々に消耗させてしまう。早く車屋に行かなければと思って早朝慌てて販売員の携帯に着信を残したものの、非番だったのか留守番電話に繋がれ、さらに雨も降りだしたのでやっぱり今日は中止。

面倒臭がりとは金がかかるもので、自炊に比べて外食や出来合いの食事がどれだけの費用を吸い取るかを考えれば想像に難くないと思われます。たとえば片付けを面倒臭がるならば、やがて部屋のどこに何があるのか部屋の主にも判別がつかない状況となり、いつか買って一度か二度使ったのを最後にどこかに放り投げてあるはずの必需品をディスカウントショップで再び購入する羽目になる。たとえば出来合いのパソコンには普通に使用する分には不要と思われるサービスなども漏れなく搭載されており、調べるのが面倒臭い、自分で組み立てるほどの知識も根気もない顧客の財布から絶大なる資産を抜き取ることに日々成功しているといわれている。社会とは親切なもので、面倒臭がりのクソったれでも一人前に生きていけるサービスを充足させてくれているが代わりに費用は全額こちら持ちだからやっていられない。面倒臭がりを治す薬があるのなら、これからのスタッドレスタイヤ代と必需品代、パソコン代、食費などに相当するだけの額を支払ってでも購入したいと思うのも無理はない。そしてそれを治癒した暁には、同じように面倒臭がりであるがゆえ多額の資金を知らず知らずに支払わされている諸兄を対象に、我々はいかに浪費を強いられているかについてプレゼンし、面倒臭がりと戦い、面倒臭がりのために無駄な資金を支払わないためのセミナーを全12回ぐらいに分けて実施したい。費用は全額参加者持ちで。

面倒臭がりにもフィルターがあると思っていて、一見面倒に見えて本当に進んでやりたくないものごとと、繁雑ではあるが無意識のうちに自ら進んで絡め取られていくものごととの二種類がある。今日は分水嶺を少し越えた麓の蕎麦屋まで足を運んで、帰りは通ったことのないルートを使って遠回り。遠回りと言っても往路で利用した国道に比べて距離がそう膨らまず、その割に交通量は冗談抜きに10分の1程度しかない。天候が悪かったが新緑が眩しく窓を開けると青草の香りが楽しめ、良好な帰路になったと思われる。土地勘を養うには点ではなく最低でも線で土地をとらえる必要があって、何重にも何重にも線を描き増やすことでやがてイメージは面状に近づいていく。主要な国道一本だけを利用して通過し続けていた地域に対して、別の県道や町道や農道や畦道や時には線路や空路から様々にアプローチすることで、土地勘は格段に厚みを増す。馴染みのない土地についてグングン増えていく知識は豆知識的で案外何の役にも立たず、時間や労力だけを吸い取るけれど、それでも面倒臭さを残さず趣味の範疇に収まっているのは果たしてひとえに季節の風が芳しいせいなのだろうか。

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