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愚痴を書くブログ

それが私の逃げる道

今日は贔屓にしているとんかつ屋に久々に行った。このとんかつ屋は近所の巨大イオンモールに入っていて、閉店時間は専門店街に合わせて22時となっている。普段、仕事での定時が週3日は21時である上、早番で18時や19時が定時の日でも仕事が残ってしまって残業せざるを得ないような状況がここ数週間続いたので、22時閉店のイオンで食事をするのがほぼ困難だった。そうした事情から久々の来訪となった。

僕がこのとんかつ屋を贔屓している理由はいくつかあって、ひとつはご飯とみそ汁とキャベツがおかわり無料であること。ひとつはご飯が無くなると女性店員が気づいてすかさず「ご飯のおかわりはいかがですか?」と問いかけてくれること。ひとつはみそ汁のネギの風味が最高によいこと。ひとつは「今日のお得メニュー」がいつ行ってもおんなじラインナップであること(さらにそれが軒並み\2,380\1,380ぐらいの驚異の値下げ率)等々。

いろいろ突っ込みどころはあるものの、平均5回はみそ汁をおかわりする僕のような情趣の無い客にも嫌な顔一つせずおかわりのみそ汁を提供してくれ、それどころか「キャベツもいかがですか?」と追加でサジェストしてくれる優しい店員ぞろいのあのとんかつ屋が好きだ。

言ってしまえば、今日の僕は仕事で多大なるストレスを感じていた。特にこれ、というはっきりとした原因は無いのだが、扱っている商品の破損に気付けなかったことを指摘されたことや、休憩から戻るのが遅いとどやされたこと、自分がイレギュラー対応をしているうちにもルーチン作業がどんどん進んでいくこと、自エリアで自分以外の誰もトランシーバーに対応してくれないこと、自分の目の届く範疇で起こったイレギュラーに気の利いたアルバイトが必死で対応してくれたこと、それら全てがなんだか心に負荷を掛けていた。

そんなストレスも三元豚200gのとんかつ定食(\2,380\1,380)を注文してご飯をたらふくおかわりしたことで100%解消されました!!なんて続けるほど僕はチョロくない。その店の回し者でもない。でも65%くらいは緩和されたような気もするから、ある程度は“チョロい”奴なのかもしれない。

というのも、200g規模の三元豚は厚みがあって揚げるのにわりかし時間がかかるらしい。まして今日は金曜の夜、翌日の休みを前にモールは家族連れで少々混雑していた。だから注文してから20分くらいは待った。20分くらい待って、ようやく運んできた店員さんいわく大変申し訳ありません、遅れてしまったお詫びに何かお好きなお飲み物を一品サービスいたします、とのこと。そうして食後に運ばれてきたオレンジジュースを飲みながら、こんな日常もわりかし捨てたもんじゃないなということ、また早く仕事から上がれた日があったらこのとんかつ屋に再び足を運ぼうということなどを考えた。

「世界」というと仰々しい感じがするけれど、我々のいう「世界」とはきっと我々にみえる限りの日常のことでしかありえない。だから「世界は広いから」などと言えば、日常生活もいろんな工夫を加えてみたりいろんなところに足を運んでみることで、様々な価値観をもった人々や、様々な特色を持った地域・コミュニティに出会えるのだという解釈ができる。何せ、ほんの数十分車を走らせて近所のとんかつ屋に足を運んでみただけでも「世界」が少し明るくなったのである。

逃げたい消えたい時もある


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「世界」のどこかに「逃げ道」を作っておくことが必要だと思った。「逃げる」ことは勇気が必要だ。けれどなんとなく、道を外れてしまうようなイメージがつきまとう。「逃げちゃダメだ」「卑怯者だよ」という「倫理観」、「倫理観」という「鎖」で自らを縛りつけてはいないか。いっそつらいことからは逃げてしまった方がある程度みんな幸せなところに落ち着くのではないか、と思う。そこでの「がんばり」はきっとヌルヌルのローションの床を必死で駆ける犬のように空回りする。必死な姿を見せれば見せるほど、いじめっ子にとっては愉快で仕方ないのだから。重圧に耐え続けて最後の最後でバーストするよりは、早々にリタイアする道を選んだほうが傷つかずに終われる。人間の心はそんなに頑丈にはできていないし、誰にだって耐えうる容量の限界があるから、耐えて破裂する/早々に諦めるはおそらく遅い/早いの違いにすぎない。まあ、実際に逃げるかどうかは別にしても、「逃げる」という選択肢を頭の中に準備しておくだけでも相当心の負荷は違うと思う。

何より逃げ場が確保できるだけのスペースが自分の「世界」に準備されていることが前提。だからこそいろんな場所に足を運んで様々な人と話してみることを楽しめる。70億人も人間がいれば絶対に自分の身の丈に合ったコミュニティがどこかにあるはず。そんな思いで僕は「飲みましょう」のLINEを飛ばすし、とんかつ屋にもきっと近いうちに足を運ぶ。