beautiful and wonderful

愚痴を書くブログ

幸せになりたい

大学時代の友人の結婚式にお呼ばれしたので参加してきた話。

会場は東京近辺と聞いていた。乗り越えるべき2つの壁がある。私が住んでいる街は首都圏から遠く離れた日本の北の果てのほうにあるため、東京で執り行われる式に参加するためにはまず航空券の手配が必要。ゴールデンウィーク期間ということもあって、その手配は難を極めた。結局、二度キャンセル待ちをしてようやく定価より安いチケットが取れた。そしてもう一つ必要なのが仕事の休みを取ること。大学を卒業した時に私はよりによって不定休の職に就いてしまったため、普段世間が休んでいる週末にも通常通り朝の時間に出勤している。東京で週末に行われる結婚式に参加するためには最低でも1泊2日の休みを取らなければならず、恐る恐る休みの申請をしたものだった(2日間の休みを申請したところ上司の厚意で3連休になったのは泣けるくらいいい話なので、心ある方は一緒に泣いてください)。

こうしたハードルはあったが、それでもなお友人の結婚式には参加する意味があると思い、関門は全てクリアして参加する判断を下した。そして今は式を終えて、参加してよかったと心から思う。

まずは大学時代の友人に3年ぶりに会ったこと。3年という時間が経過したはずなのに、口を開けばたちまち心は3年前に戻ったかのよう。大きな時間の流れがあっても、我々の間に横たわる空気はまったく変わってはいなかった。確かにそれぞれの社会的な経験が当時から上積みされていたり、置かれている境遇が大きく変わっていたりもするけれど(中には新卒で入った会社をすでに退職して新たな道を歩んでいる者もいた)、それぞれの人間の根本はそんな簡単に変わらないものなんだとそこで気付かされ、妙な安心感で胸が満たされた。

次に、人ってこんなに幸せになっていいものなのかという衝撃。「5年間の交際を実らせゴールイン」というだけでもかつて流行したスラングを引用すれば“爆発”に値するだけの幸せエピソードだと思うのだけれど、二人がずっと大好きだったテーマパークを借りて、多数の友人知人親族の方々に見守られながら盛大に式を挙行する、それ以上の幸せな人間の姿というものを私はうまく想像することができない。

そしてこれは全く不謹慎なことかもしれないのだけれど、友人の新郎がこれだけ幸せになったのだから、私ももっと幸せになっていいのではないか?という疑問も私の中に芽生えつつあった。私の知る限り彼は一般的な市民であったが、憧れに憧れてそのためにいろいろ努力した末に、果たしてそこにこの上ない幸せを引き寄せることができた。何をどう努力したかは知らないけれど。これより、私が何らかの幸せを得るために必要なことは何らかのぼんやりとした“実力”ではなく、①憧れる姿を明確にし②そこに至るまでのプロセスを明確にし③それに従って日々行動すること、この3点に尽きるのではないだろうか。強いて言えば、その3点を粛々と実行するまさにその“実力”なのかもしれないけれど。いずれにせよ、そうやって考えれば私も幸せな友人の姿を指をくわえて見ているだけではなく、いつかは幸せというものを手繰り寄せられる、その道筋が実線となって見えるような気がしてきた。

そういうポジティブな気分で見ている私と、憧れの舞台の上にいる彼らと、祝福するギャラリーの三者が同時に揃うその場所は間違いなく煌びやかで美しく、妬みやつらみなどが入り込む余地などは無いため、どこを向いても咎める者も無く、ただただ手を叩きながら酒を飲んでいるだけでその場はOKだった。

式が滞りなく終わって会場を出たら外は雲ひとつない青空で、日は少しだけ傾いてそれでも私たちの影をはっきりと映し出していて、昨日まではどうしようもなく湿った気分で日々を過ごしていた私にもここから明るい未来が待っているのかなあ、などと思ってみた。京葉線で移動して、3年ぶりに再会した友人たちと東京駅で電車の時間まで飲んでからお別れをした。

思い出を掘り返すだけの旧友なら正直な話、つるんだところでそこから先へは進めないと思っていた。けれど、仲間内の結婚を機にみんな漠然と将来について思うところがあって、かつて同じ釜の飯などを食っていた同じ年代の友人たちと2016年の今はじっくりと将来についての話ができるのは贅沢でもあり有意義すぎるものであった。こういう時のために昔の友人とは定期的に顔を合わせて、関係を暖めておく必要があったのだ。今後は誰が幸せな姿をお披露目してくれるのだろうか、またその時に再会した友人たちと、今回幸せ者になった友人も交えて、また明るい未来についての話をすることになるのだろう。今はそれを、まさに“喉から手が出る”ほど心待ちにしている。

 

唯一の心残りは行きの飛行機の遅延で挙式が見れなかったこと。焦って到着して、スタッフの人に「挙式はお開きになりました」って言われたときに膝から崩れ落ちそうになった。こんな私で非常に申し訳なかった。