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愚痴を書くブログ

ただビーフカツが食べたくて

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脳みそが単細胞なので、連日テレビで放映される廃棄のビーフカツの映像に堪えかねて件のカレーチェーンにビーフカツカレーを食べに行ったところ教科書通りの「おいしい」が口から漏れそうになった土曜日の昼。企業の社会的信用に関わる重大な事実が明らかになったときに、一切を包み隠さず、即事実確認してメディアに公表したカレーチェーンの企業としての姿勢が素晴らしく徹底されてるなと思ったのは言うまでもないんだけど、それ以上に連日テレビで放映されるビーフカツの映像は、一消費者がわざわざ店舗まで出向いて食事をしたいと思わせる原動力にまでなったので、二重にカレーチェーンの勝利って感じがする。

社会的責任を負っている企業といえど、蓋を開けてみると中に入っているのは所詮人間なのでこういう不祥事って半永久的に続くものだと思う。2007年に次々に食品偽装が明らかになって、今年の漢字として「偽」が選ばれて、清水寺でいつもの習字の師範代みたいな人が師範代っぽい腰つきで勢いよく「偽」という文字を書いていたのを覚えている。あの腰つきに偽りはなかったけれど、あれから9年経っても依然として食品関連の偽りってなくならない。偽装と横流しとでちょっと性質は違うけど。

不祥事を起こした企業はメディアで社会的に吊るし上げられることになるのでメディアが一時的な抑止力になることはあるとは思うけれど、不祥事とされる行為の一番の動機は、それをすることで自分のところに利益が入る、かつ、それが誰からもバレなければ自分のところの株が落ちることもない、だからバレないことに細心の注意を払いながら続けていくことができれば、半永久的に、非合法的に、私利を得ることができる、というところだと思う。バレたら一切合切を失うリスクがある中、細くずるく私利を拡大していこうという行為はまさしくギャンブルと一緒で。「どうせ負けるんだからやめときなよ」と勝つ自信のあるギャンブラーにアドバイスしたところでやめるわけがないのと一緒で、現在進行形で不祥事を行っているかもしれない企業の中の人に「バレたら大変だからやめときなよ」とアドバイスすることに意味はない。不祥事が明るみになって廃業したりするケースというのは、あくまでたまたま運悪く、もしくは悪事を行っている割に悪事がバレることに対するセキュリティ体制が甘かったがためにバレてしまっただけにすぎないので、現在進行形で“不祥事(とされること)”に着手している諸企業においては、逆にますます「バレない」ためのセキュリティの蓋を締め直す結果となったのではないかと懸念される。

では不祥事をさせないためにどうしたらいいか、情報が漏れる前に自らいち早く全てを明らかにし、迅速に対応することで企業の品位を守った今回のカレーチェーンのような“模範例”を広く社会に知らせていくことはひとつ有効だと思う。社会的責任を果たす企業としての好例と悪例がいっぺんに見れたので興味深いニュースだった。あとビーフカツもそこそこ美味しかったから、味わい深いニュースだった。