beautiful and wonderful

愚痴を書くブログ

少し前向きになれた話

小学生の頃から自分は周りに比べて「できる」子供だった。勉強ではクラスで決まって1番だったし、もともとの運動神経はそんなに良くなかったけど、「いい子」だったので、先生にはよく誉められた。まわりからは優等生扱いされた。まじめにコツコツやるのが得意で、中学で陸上の長距離を始めた時には、やればやっただけ伸びる競技性ゆえ成績はグングン伸びた。しまいには県大会で7位に入賞するまでに至った。

高校ぐらいで反抗期的な何かを迎えたものの、相変わらず部活と勉強のどちらにも地道に取り組んでいた。何より、成果を残すことで自分が「できる」ことを感じられるのが好きで、快感だった。だから、その快感を得るためにコツコツやって、地元トップの高校の中でもトップクラスの成績で、トップクラスの大学に進学した。自分は「できる」人間だと思い込んで過ごしてきた

ただ、「できる」割には自分を主張するのが苦手だった。本当は責任とか負いたくないけど、何かのリーダー役とかに抜擢されることが多かった。自分ではそんな大層な人間じゃないのではないか?とうすうす内心で感づいているんだけれど、周りからそういう扱いを受けて、大層な役柄に抜擢されることは悪い気はしないし、むしろ気持ちのいいことだった。だから、「そんなに薦めるならじゃあ僕がやります。喜んで」といった具合。でも抜擢されたところで、自分から進んで何かアクションを起こすということはあまりなかった。

こうして「できる」人間を何年間もやり続けているうちに、自分は「できる」人間であらねばならないという強迫観念に知らず知らずのうちに囚われていたように感じる。そして、「できる」外面の裏側にある自らのダメな姿を知られてはならない、と強く思うようになっていった。

そうした経緯があって、僕はまず就職活動で半分挫けた。

そもそも、将来自分がやりたいことについて真面目に考えたことが無かった。「いい子」となって、与えられたことをコツコツこなして、その成果が形となって、結果的に「できる」人間として扱われること、それだけがこれまで生き抜いてきたやり方だった。目の前でスコアを出すことだけが常に目的で、大きな自分の将来を描いたことなど無かった。漠然と、大学を出たので、それも「いい大学」を出たので、なんとなく「いい会社」に就職するんだろうという「将来像」しかなかった。いや、「いい会社」に就職しなければならないという「強迫観念」のほうが近かったかもしれない。

そんな具合で就活に臨んだものだから、それはそれは結果が出なかった。志望動機なんてその場しのぎで作ったものばかりで、相手には全く伝わらなかったと思う。そんな中でも運良く内定をいただけた今の会社に就職することを決めた。

就職してからは苦労することがより増えた。そもそも、入社時は職場の中ではまったく「できない」状態。生活の中で時間的にも精神的にも大きなウエイトを占める「仕事」で、いきなり一番下の立場で、毎日上司や先輩からの叱責を受けながら日々のタスクをこなしていくことは精神的に本当にきつかった。

それも、小学校から「できる」人として扱われていた自分には尚更こたえた。長い期間にわたって周りからもてはやされて、外面では謙虚なふりをしながらも、内心自分は何か特別なものをもった人間なのではないかと思っていた部分もあった。でも仕事を始めたら、全然そんなことはないのだと思い知らされた。これまで自分がたまたま受けてきた教育にうまく適応してきたというだけの話であった。「生徒」や「学生」として過ごす上では無くてもさして困らないもの、でも社会で生きていく上では欠かせないものがいくつか自分には欠けていた。

総和してみたら自分は特別な何かではない、本当に平凡な人間であることがわかった。

頭でわかるのは簡単だが、それを認めて、考えを改めることは難しい。自分は「できる」人間であらねばならないとずっと思い込んで生きてきたので、自分ができないことを「できません」と認めることがなかなかできない。助けてほしい時に「助けてください」となかなか言い出せない自分がいる。「もう少しできるはず…」が続いた結果、傷口が広がってしまいどーしようもなくなってしまって上司に怒られる、そんなことも仕事の上ではしばしば。

「開き直る」ほど強い行為もないと思う。自分なんてどうせ大層な人間じゃないんだから、今ある現状しか目の前にはない。だからそれを少しでも良くするために、考えて、全力でやってみる、それしかないんだと思えたならきっとグンと突きぬけられるはず。

自分にはもっといい道があるんじゃないか、なんて「逃げ道」を作ってしまっているうちは「開き直り」には程遠い。この1年弱の間に何度も今の仕事を辞めたいと考えた。「逃げ道」を何度も思い描いた。物流なんかやめて、デザインとかやってみたら意外と才能が開花するんじゃないか?とか、ミステリー小説を書いてみたら案外出版社とかの目に留まるんじゃないか、中学の時、市の文集にも載ったことがあるし!とか。笑われるかもしれないが割と本気だった。

でも、そんなことを考えるのもくだらないと思うようになってきた。就職して1年足らずで転職だなんて。どうせ総和したら人並みなのだから、例え芸術を今からかじってみたところで、その顛末がどうなるかはたかが知れている。

石の上にも3年、とりあえず短くても3年は今の仕事を続けてみようと思っている。幸か不幸か、異動が多い会社なので、散々自分を苦しめた(笑)今の部署には来年の今頃には確実にいない。その異動先に恵まれるか否かはわからないけれど、どういった部署になろうと、自分なんかにはもうこの仕事しかなかったんだ、そう思ってやってみるしかないのではないか。それが最近思ったこと。

 

最近見て、「開き直り」が素晴らしかった映画。

 

川の底からこんにちは [DVD]

川の底からこんにちは [DVD]