beautiful and wonderful

愚痴を書くブログ

青春の溺死体

いつだって前に前に進むことができる人は過去など振り返らないのかもしれないが、輝く過去があるのなら振り返ってばかり過ごしたいのが人の性という気がする。もともと在籍していた組織にOBになってもなお関わりを持ちたがるのはその中のひとつだと思うし、そのことが現役世代になにかいい知恵や恩恵を授ける機会があるのなら結果オーライだと思う。過去を振り返ること自体に否定的ではない。

学生時代から社会人になるところで住む土地がガラッと変わったのもあって、もともとの人間関係や作ってきた思い出が一気に断絶された感がものすごい。自分で選択した道ではあるけれど。学生のころは住めば都だろうと思ってどこにでも飛ばされようと考えてそういう選択をしたものの、最近ではここまで精神的に断絶されるものかと驚いている。ほとんどすべてをリセットして新天地で一から人間関係を、生活を、その他いろいろなものを構築していこうという尖鋭的な心構えは清いものであったが、よく馴染んだ暖かい場所で“停滞する”安心感も今では少し恋しくなってしまった。「またいつか飲もう」というのは遠い微かな未来への願望レベルであって、いろいろな都合を差し引きすると8割がた叶えられないことが分かっているので、期間を決めて「この時期までに機会を設けて必ず誘います」という風にしている。そういうことに関してだけ厳密。

 

吉井和哉の「at the BLACK HOLE」というアルバムが最近すきでよく聴いている。むかしから持ってたCDではあるけれど、最近になってすごい良いなって思い始めた。なぜ最近になって気に入り始めたかというと、感覚にまかせて楽しんでいるので理由はよくわかんない。家で聴いていることもあるし、車を運転しながら聴いていることもある。作り手の気分が「ブラックホールのように暗かった」時期だったからこういうタイトルになったらしいが、作り手が満たされていない、あるいは不安定な感じがあればあるほど芸術作品の完成度は高い気がする。切実さのあまりほっとけない、みたいな。不安定諸君は芸術家の道を志せば大成するかもしれない。大成しないかもしれない。